個人事業者であっても、基準期間(2年度前)の課税売上高が1,000万円を超える場合には、消費税の課税事業者となります。今回は、課税事業者がどのような消費税の決算処理をしていけば良いのかを確認していきましょう。

1.基準期間の課税売上高とは

基準期間とは、その年の前々年における課税売上高を指します。この場合の課税売上高が税込か税抜かという疑問があるかと思いますが、

基準期間が免税事業者 ⇒ 税込
基準期間が課税事業者 ⇒ 税抜

で判定することになります。

つまり、例えば平成26年度の課税売上高が1,020万円だった場合、

免税事業者だった ⇒ 1,020万円>1,000万円 ∴平成28年度は課税事業者
課税事業者だった ⇒ 1,020万円×100/108=944万円≦1,000万円 ∴平成28年度は免税事業者

となります。
基準期間の課税売上高が1,000万円ギリギリの場合はご注意下さい。

2.消費税の決算処理(税抜方式)

税抜方式の場合、取引の都度、消費税を控除するのが一般的です。
例えば、売上高が1,080、仕入高が840だった場合、

(売掛金等)1,080  (売 上 高)1,000
           (仮受消費税等) 80

(仕 入 高)800     (買掛金等)864
(仮払消費税等)64

という仕訳をします。

つまり、消費税部分を受け取ったら「仮受」、支払ったら「仮払」として処理します。そして、決算時にこの仮受消費税と仮払消費税をNETします。

(仮受消費税等)80   (仮払消費税等)64
            (未払消費税等)16

80預かって、64支払っていますので、不足分の16を「未払」消費税等として負債に計上します。仮に、預りよりも支払の方が多い場合は「未収」消費税等として資産に計上します。

例)仮受消費税等80、仮払消費税等100の場合

(仮受消費税等)80   (仮払消費税等)100
未収消費税等)20

3.消費税の決算処理(税込方式)

税込方式の場合、最後の最後に未払消費税等を算定します。通常時は税込で処理しているため、最後に集計をする必要があります。その集計した仮受消費税等と仮払消費税等の差額を未払(未収)計上することになります。

先ほどの例で仕訳を確認しましょう。

①未払計上の場合

(租税公課)16   (未払消費税等)16

未払の場合は、「租税公課」という費用勘定で処理をします。
この租税公課は必要経費に算入されます。

②未収計上の場合

(未収消費税等)20  (雑収入)20

未収の場合は、「雑収入」という収益勘定で処理をします。
この雑収入は収益に算入されます。

4.税込方式の方が費用が多いのでは?

未払の場合、租税公課という費用を計上しますので、税込方式の方が税抜き方式より得なのでは?というご意見をたまに頂きますが、答えは同じになります。先ほどの例で確認しましょう。

①税抜方式

収益:1,000
費用:800
利益:1,000-800=200

②税込方式

収益:1,080
費用:864
租税公課:16
利益:1,080-864-16=200

税込で経理している時点では税抜方式より利益が大きくなっていますので、租税公課という費用を入れてあげて利益を同じにしてあげているイメージですね。

ということで、今回は消費税の処理でした。確定申告のお役に立てれば幸いです。

 

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