所得税は、本来、国が定めた可処分所得に対して課されるものです。それでしたら単純に、

課税所得金額=収入金額-必要経費-所得控除(税法上の生活費)

で計算すればいいですよね。

ところが、確定申告はちょっと複雑です。所得金額を10種類に分けなくてはいけません。なぜ、こんな面倒なことをしなければならないのでしょうか。以下の3つがその理由として挙げられます。

・課税の公平
・政策実現
・簡便性

これらのうち、今回は課税の公平について解説します。ぜひ、確定申告で所得税の計算をするときに実感して頂ければ幸いです。

参考)10個の所得とサラリーマンの納税

課税の公平とは税金の負担能力に応じて課税するシステム

課税の公平は税法の大原則です。では、具体的にはどういったことなのでしょうか。一言で言いますと、

税金を負担する能力に応じた金額を課税する

ということです。たとえば、事業所得と一時所得とでは同じ所得金額でも税金の計算が異なります。


・事業所得=収入金額-必要経費

・一時所得=(収入金額-支出金額-50万円)÷2
明らかに一時所得のほうが優遇されていますよね。50万円を所得から控除できて、さらにそれを半分にできるって・・・。ただ、一時所得は競馬の配当金とかそういったものになりますので、「偶発的な所得」です。毎年毎年発生するようなものではありません。

これを、毎年継続して出るであろう事業所得と同じ形で税金を課してしまうのでは課税の公平が保たれないということで、こういった優遇がされているんですね。

収入の継続性も課税の公平を図る基準のひとつ

確定申告で所得金額を意図的に分けているのはワケがあります。税金を負担する能力、つまり課税の公平のためです。

事業所得と一時所得は、収入金額と必要経費(支出金額)が同額なら、手元に残るお金は同じはずなのに・・・。

その年の確定申告だけを見ても分かりませんが、来年以降の結果を見れば、課税の公平とは何かが見えてきます。競馬の払い戻し金などの一時所得が、毎年続く可能性は低いですね。でも、事業所得は違います。来年以降も継続して確定申告をしますね。すなわち、これが課税の公平なのです。継続性という切り口から税金の負担能力を計算しているんですね。

確定申告における課税の公平のゴールは所得の再分配

そもそも、所得税の確定申告では課税の公平により税金を負担する能力に重点を置いているのでしょうか。

これは消費税の軽減税率の根拠を見ると明らかだと思います。消費税の軽減税率は、生活必需品に対しては10%に増税せず、8%を維持するというものです。なぜこういった措置が取れるかと言いますと、所得が低い人ほど収入金額に対する生活費のウェイトが高いのを配慮しているんですね。

確定申告で一律の税率にしないのも根本は同じです。生活費はお金持ちと低所得者ではあまり差がありません。ということは、収入が多い人ほど貯蓄に回す可能性が高くなります。それであれば、お金持ちに所得税を多く課して、低所得者を保護する財源にまわすほうがよいと国は判断したのでしょう。

高所得者から徴収した税金を社会に還元することで、低所得者の生活も維持されることになりますね。これを所得の再分配といいます。

 

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