確定申告では財産としての価値が無いにもかかわらず、資産に計上する項目が2つあります。

・前払費用
・繰延資産

いずれの項目も来年以降の売上に貢献するという点では共通しています。では、なぜ確定申告では前払費用と繰延資産とを使い分けているのでしょうか。それにはワケがあります。

違いはサービスの提供をすでに受けたかどうか

それでは、前払費用と繰延資産の違いを確認しましょう。

①前払費用・・・来年以降の税理士報酬など
②繰延資産・・・物件を借りたときの権利金(返還されない保証金を含む)など

前払費用と繰延資産は来年以降の売上に貢献します。もちろん、財産としての価値はありません。基本的に売却することはできませんからね。

ですが、ひとつ違いがあります。前払費用はサービスの提供を受けていませんが、繰延資産である権利金は違います。契約期間分を支払ったうち、当年分はサービスを受けていることになります。つまり、固定資産と同じ性格と言えますね。ですから、確定申告では前払費用と繰延資産を使い分けることになります。

繰延資産は固定資産と同様に少額なら一括で必要経費に落とせる

前払費用と繰延資産を使い分けることにより、確定申告でも必要経費の計算方法が若干異なってきます。
そこでひとつ質問です。次の経費は確定申告で必要経費に落とせるでしょうか。

例)19万円を支出したケース

①来年以降の税理士報酬(前払費用)・・・NG
②繰延資産・・・OK

確定申告の原則では資産に計上しますが、繰延資産は固定資産と同じ性格です。備品代も30万円未満は一括で必要経費に落とせるように、繰延資産も20万円未満で線引きされていて、20万円未満であれば全額を当年の必要経費にすることができます。少額なものまで厳密に管理するのも大変ですから、除外規定があるんですね。

繰延資産はできるだけ早く必要経費に落とそう

前払費用と繰延資産は「サービスの提供を受けているかいないか」に大きな違いがあります。前払費用の場合はサービスの提供を受けていませんので、原則として必要経費にすることはできません(※)。

※短期前払費用に該当する場合は当年の必要経費にすることができます

しかし、繰延資産は固定資産と同じ扱いをすることから、少額であれば当年の必要経費に落とすことができるケースがあります。この違いは、しっかりと把握しておきたいですね。

参考)

短期前払費用になる・ならないものの違いを明らかにしましょう
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