確定申告シーズンが近づくと
「これは経費で落とせる?」
という話題で盛り上がりませんか。
「それは税務署が判断するもんだよ」
という意見があるかも知れません。一見説得力がありますが、実はそれは誤りです。正確には税務署ではなく裁判官が判断します。確定申告で計上できる経費を、税務署に決める権限はありません。
確定申告で必要な知識は判例である
では、どのようなプロセスで経費と判断されるのでしょうか。個人事業主が確定申告をする上で、必要な知識ですので確認しておきたいですね。
第一段階・・・納税者が事業に必要な経費であることを税務署に説明
第二段階・・・納税者の説明に納得いかない場合は、税務署は経費を否認するために更正処分を行う
第三段階・・・納税者が更正処分に不服があるときは、国税不服審判所→地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所の順に、経費になるかどうかを争う
という仕組みなんです。つまり、経費となるかどうかは最終的に裁判官が判断することになります。
経費を三権分立で見ると
確定申告した経費が落とせるかどうかは裁判官が判断することに違いありませんが、もう少し深く掘り下げてみましょう。
三次会の取引先とのカラオケ代を例にしましょう。具体的には学校で習った三権分立の機能を説明します。
・事業に関係あるものは経費という法律(方向性)を作るのが国会議員
・カラオケ代が確定申告の経費にふさわしくないと判断して、更正処分を下すのが行政機関(税務署)
・カラオケ代が事業に関係あるかどうかを税務署と納税者が争ったのをジャッジ(解釈)するのが裁判官
つまり、最後の詰めの部分は裁判所が行います。確定申告で経費を判断するのは税務署ではないというのがおわかり頂けたかなと。
経費になるかどうかを税務署が判断するといわれるワケとは?
ところが、確定申告で経費を決めるのが税務署というのは、実はまんざらウソとまではいえません。否認するときの更正処分って、必ず理由を記載して納税者に通知します。確定申告したものが経費でない根拠を税務署内部の審査を通過するためのハードルがけっこう高いんですよ。
ということは、そのハードルを超えたものについて、裁判で覆すのは簡単ではありません。したがって、よほど巨額であったり税務署の判断が理不尽と考えられるようなものでない限り、裁判までなることはあまりありません。裁判費用も馬鹿になりませんしね。
まとめ
確定申告をするときに押さえておきたいポイント
・経費を含めて、法律が正しいかどうかを最終的に判断するのは裁判官であること
・税務署が更正処分をするハードルは高いこと
・更正処されたものを覆すのは困難であること
参考)
嘘の確定申告書は税務署にすぐバレるというのは都市伝説か
税務調査では税務署側が否認する項目を立証する責任があります
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