会社って誰のものでしょうか。株主?経営者?従業員?

いろいろなご意見があるでしょうが、税法では「会社=株主のもの」という立場を採っています。

その説を表しているのが、確定申告をするときにある配当控除という税額控除の制度です。収入を得たのに、費用ではなく控除を受けられるというのは摩訶不思議ですよね。

配当控除は、「会社=株主のもの」という理由から、二重課税を防止するために設けらた制度になります。

収入を得て、個人の確定申告で税額控除されるのは優遇税制なの?

そもそも株式の配当に課税すると、なぜ二重課税になるのでしょうか。また、なぜ、個人の確定申告で税額控除ができるのでしょうか。それらを説明する前に配当控除の概要をお伝えします。

株式の配当を受けた場合を例にしましょう。

・配当所得の金額×10%
・配当所得のうち所得金額1,000万円を越える部分の金額×5%

※配当所得=配当金額ー株式など取得するための借入金利子

同じ配当金でも控除する税率は証券投資信託なら二分の一、一般外貨建証券投資信託なら四分の一になります。

上記の金額が二重課税として、個人の確定申告で税額控除されるんですね。

個人の確定申告で二重課税を防止する制度は、庶民の感覚と合わない?

配当金は、会社の確定申告で法人税等(法人所・住民税・事業税)を支払った後に実施します。よって、すでに法人税等が課税された後の金額に対して配当をしていますので、これに個人の所得税を課してしまうと二重に課税してしまうことになるのです。

そこで、、二重課税を防止するために個人の確定申告で配当控除が設けられているんですね(法人にも受取配当等の益金不算入制度というものがあります)。

それでは、なぜ「会社=株主のもの」という考え方に基づいて、二重課税を防止する制度があるのでしょうか。

同じ確定申告でも会社と個人はまったく別の存在なのに・・・。

税法上では法人税は所得税の前払い、だから配当控除で二重課税を防止する

会社は法で人格を与えられた法人、個人は自然人と明確に区分されています。それでも、法人税等が課税されたから個人の確定申告で二重課税を防止する配当控除って、まるで会社と個人を一つの人格で見ているんじゃないのかと思われたかも知れません。

そう、税法上の「会社=株主のもの」という考え方は、法人を、株式を保有している人の個々の集合体と考えています。これを法人擬制説といい、独立した存在とは見ていないですね。

ですから、法人税は所得税の前払いと位置づけられているのです。前払いをしたんだから、個人の確定申告で二重課税を防止するために配当控除の制度が設けられているのは当然なんですね。

会社が経営者や従業員のものなら株式配当しないのが一番なのに・・・

税法上で「会社=株主のもの」という考え方を反映させたのは配当控除という二重課税防止だけはありません。たとえば、株主に配当しない場合に、ペナルティーの意味合いを込めて、法人税を余計に負担させる留保金課税などがあります。

このように税法では配当を巡って、株主と経営者の関係に口出しするんですね。大きなお世話だと思われるかも知れませんが、配当控除は優遇税制ですので、口出しをしてもらった方が良いということになりますね。”

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