確定申告をするときは、実感ベースと切り離さなければなりません。収入金額及び必要経費は、お金の出入りで認識する現金主義ではなく、納品時やサービスの提供を受けた段階で認識する発生主義になります。要するに代金を受け取る権利・支払う権利が発生した時点で計上するのが原則です。
その計算方法は面倒ではありませんか。お金の出入りで確定申告ができれば、通帳で簡単に計算できるのに・・・というご意見はありますよね。
ですが、安心して下さい。個人事業主の場合は、特例制度として現金主義で確定申告をすることが認められています。
現金主義は小規模な個人事業主のための制度
確定申告で現金主義の特例を適用するためには、「現金主義による所得計算の特例を受ける届出書」を最寄りの税務署に提出する必要があります。
①条件(所得税法施行令第195条)
一昨年の世帯単位の不動産所得と事業所得の合計金額が300万円以下であること
②提出期限(所得税法施行令第197条)
・1月15日までに開業した場合はその年の3月15日
・1月16日以降に開業した場合には開業した日から2月以内
③注意点(所得税法施行令第196条)
30万円以上の固定資産は現金主義の対象外であること
上記①の要件を満たしていれば、上記②の期限内に届出書を提出することで、現金主義の適用を受けることができます。
確定申告での現金主義のデメリット
確定申告で現金主義を採用すると所得金額の計算は楽になるかと思います。しかし、現金主義にはデメリットもあることを頭に入れておかなければなりません。
現金主義の一番大きなデメリットは、青色申告特別控除65万円の適用が受けられない点です。残念ながら、10万円の控除が限度になります(租税特別措置法第25条2)。
また、確定申告で現金主義から発生主義に変更するためには、その年の3月15日(実際に確定申告書を提出する期限の1年前)までに届出書を提出する必要があります。
現金主義と発生主義の選択基準
確定申告での現金主義と発生主義、どちらを選ぶのが良いのでしょうか。状況にもよりますが、青色申告特別控除が10万円になってしまうことを考えますと、そこまでメリットがある制度とは言えません。
元々65万円控除を受けていないのであれば一考の価値はあると思いますが、そうでないのであれば、想定所得金額と相談するのが良いでしょう。
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