帳簿の作成は会計ソフトへ入力するのが主流であり、青色申告でも白色申告でもやることは同じです。確定申告でどちらを選ぼうが手間はあまり変わらないんですね。ですが、ひとつだけ違いがあります。それは確定申告書に

貸借対照表を添付する

ことです。青色申告は「アメとムチ」を兼ね備えた制度であり、それと関係あるんですね。実は。

・アメ・・・優遇税制
・ムチ・・・貸借対照表

ということで、青色で確定申告を行う上で避けては通れない、貸借対照表の位置づけを解説しましょう。

貸借対照表を人間の体型にたとえると、こうなる

貸借対照表は、一般的には事業活動の結果として蓄えた現金預金・借入金などの年度末における財政状態(ストック)を示すといわれています。さて、それと確定申告はどのような関係があるのでしょうか。結論から言いますと、所得金額が正しいかどうかを別の側面からチェックする機能を果たしているのです。

分かり辛いかと思いますので、ヒトの体に当てはめて考えてみましょう。

・損益計算書(所得金額を計算する表)・・・食べ物
・貸借対照表・・・体型

人間の体型は食べる物によって変わります。カロリーの高い物を食べれば肥満になり、低ければ痩せ型ですよね。体型から食べ物をある程度想定することができるのと同じで、貸借対照表からある程度損益を推測することもできるのです。

確定申告に置き換えますと、例えば、所得金額が低いのに現金預金が多いのはおかしいのではないか?とか、売上が減っているのに売掛金が多いのはおかしいのではないか?と言ったことを見ることができます。損益を客観的に分析するためにも、貸借対照表は大切なんですね。

所得金額の計算過程によって貸借対照表の金額が決まる

貸借対照表が確定申告で果たす役割はまだまだあります。引き続きヒトの体に例えていきましょう。

人間の体型はカロリーの高い・低い食べ物だけなく、栄養素にも影響されます。同じ1,000キロカロリーでも、たんぱく質なら筋肉質になりやすく、炭水化物なら肥満になるとかがありますよね。

確定申告の場合も、同じ所得金額であっても売上アップが原因か、経費削減によるのかで貸借対照表の数値が違ってきます。頑張ってセールスを伸ばした場合は売掛金が増えていなければおかしいですし、経費を削ったのであれば未払金が減っているのが一般的です。また、現金商売なら現金預金がたくさんあって当然ですよね。

このように、貸借対照表は損益がどのように生じたかを分析できるメリットもあるのです。

貸借対照表で脱税を発見!?

確定申告書に添付する貸借対照表はちょっと独特です。前年分と今年分を記載しなければならないんですね。前年分と当年分の2期を比較することによって、貸借対照表が不自然かどうかをより判断し易くなります。

次のケースを例にしましょう。

・信用取引による売上が前年120万円(月商10万円)→今年240万円(月商20万円)にアップした場合
・回収サイトは月末締め翌月末(売掛金は月商の1か月分)

貸借対照表の売掛金残高は前年10万円から今年20万円に増えていないと計算が合いません。それが月商の1か月分より低ければ、一部売上を除外しているのが確定申告書から簡単に発見できますね(逆に多ければ粉飾決算の可能性も)。

【完全無料】今なら税理士に無料相談できます!