個人事業主とサラリーマンの違いって何でしょう。色々あるのですが、一番の違いは「給与所得控除があるかないか」です。給与所得控除は、簡単に言いますとサラリーマンの必要経費です。この収入であれば、この位の必要経費がかかりますよねと、国の方からわざわざ経費分を控除してくれているのです。

これに対し、個人事業主の場合、青色申告特別控除の65万円以外は特にありません。その代わり、必要経費は普通に入れることができます。この時に、給与所得控除見合以上の必要経費を入れることができるのであれば、それはサラリーマンより節税できたと言うことができますね。

確定申告における節税対策のキモは、負担した金額をいかに必要経費に計上できたかどうかと言えます。これは給与所得者にはできませんね。

ところで、あなたが確定申告で節税対策をする目的は何でしょうか?

①お金を残すため
②確定申告で所得税の金額を少なくするため

普通は②ですかね。目先の所得税を少なくしたいと。では、①はどういうことなのでしょうか。

巧妙に仕組まれた個人の課税システム

お金を残すために確定申告で節税対策に興味がある気持ちは分かりますが、それでは片手落ちです。苦労して財産を残したとしても、我が国ではそれに対して課税するシステムが出来上がっています。

具体的には、個人に対する課税システムは以下の二段構えになります。

  • 第一段階・・・所得金額に対する所得税・住民税・事業税の課税(収得税)
  • 第二段階・・・蓄えた財産に対する相続税・贈与税・固定資産税の課税(財産税)

要するに、確定申告で所得税の節税対策を行ったとしても、第二段階の財産税で課税されてしまうんですね。まぁ、財産税で課税されるのは当分先になりますので、そう考えると所得税を節税するメリットはあるのですが、一族レベルで考えると節税のメリットはそこまで大きなものではありません。

財産税の課税対象は「財産」

本当にお金を残したいなら、財産税の基礎知識を知っておく必要があります。

■財産税の課税システム
・相続税の金額=(相続財産-3,000万円-600万円×法定相続人の数)×税率
・贈与税の金額=(年間の贈与した財産の金額-110万円)×税率
・固定資産税=固定資産評価額(財産の金額)×1.4%

上記の算式に共通するのが「財産」の金額です。財産があればあるほど税金が高くなるんですね。この財産をどう低く設定することができるかによって、これらの財産税を軽減することに繋がります

「節税貧乏」とは?

所得税の確定申告といっても、節税対策をする目的が財産を残すためである以上は、単に所得金額を圧縮すればいいものではありません。長期的視点で考えないとあまり意味がありません。これを機に節税対策に対するスタンスを見つめ直してみてもいいかも知れませんね。

また、節税対策だと言って年度末に大量のパソコンや家電などを購入される方がいらっしゃいますが、使わないものを買うのは無駄ですのでやめた方がいいと思います(苦笑)。

来年買おうと思っていたけど、「今年は税金が多くなりそうだし、今年中に買っておこうかな」程度であれば問題ないですけどね。本末転倒することがないよう注意して下さい。いくら必要経費を使っても、「必要経費の金額×税率」分の節税ができるだけであり、実際の支出額と節税額の差額分だけ、キャッシュアウトが増えることになります。

つまり、お金を残そうと思ったら節税対策ではなく税金を支払った方がいい!というケースも多々あるのです。節税貧乏とはこのことですね。

所得税は節税できたけど固定資産税が増税されるケース

青色申告をしていると30万円未満の固定資産は、取得年度の必要経費とすることができます。これはいい!と、ポンポンこの制度を使っていると、落とし穴があります。

それは、償却資産税の課税対象になるというものです。償却資産税は、150万円以上の償却資産を持っている事業者に対して課されます。30万円未満の固定資産であっても、合計で150万円以上になってしまうと、償却資産税が掛かってしまう可能性があるんですね。

なお、20万円未満の資産を一括償却資産とした場合、10万円未満の資産を一括費用にした場合は固定資産税の課税対象に含まれません。

したがって、150万円ギリギリの場合は一括償却資産にするなどの処理をした方が、納税額が少なくなるケースがあるんですね。

参考)
確定申告で「得する」節税と「得しない」節税があるって本当?
太陽光発電を使用すると確定申告で節税できる

 

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