個人事業主は年末になると商品などの棚卸資産の金額を計算する必要があります。確定申告に必要な数値だから仕方ありませんね。面倒ですが・・・。さて、そんな棚卸資産ですが確定申告での計算方法は理屈だけなら簡単です。

棚卸資産の金額=仕入単価×数量

これだけ見ますと簡単そうですが、問題はここから先です。いったい確定申告で棚卸資産の計算するために必要な仕入単価とは具体的になんでしょうか。何せ、購入する単価はいつも同額とは限りません。生鮮食品などは常に変動しますよね。では、どやって計算しましょうか。

税法では、これらの実情に配慮して、確定申告での棚卸資産の計算方法を定めています。

6つの棚卸資産の計算方法が認められています

確定申告での棚卸資産の計算方法は所得税法施行令第99条で以下の6つに定められています。

・個別法
一つひとつの商品ごとに厳密に計算する方法です。ダイヤモンドなどの高価な品物に適用することが多い方法です。ただ、通常は面倒なのであまり使いません

・先入先出法
先に購入した商品から売ると考えて、後から仕入れた仕入単価で計算する方法です。理屈的には正しいですね。ただ、棚卸資産は期末に購入した分とほぼイコールになるため、物価上昇時は多くの棚卸資産を計上する(=必要経費にならない)ことになります

・総平均法
年末に平均仕入単価を算出して、計算する方法です。簡便的な方法ですが、仕入単価が期末にならないとわからないという欠点があります。

・移動平均法
仕入れるたびに平均仕入単価を算出して、計算する方法です。厳密な方法ですが、計算が面倒というデメリットがあります。

・最終仕入原価法
年末に最も近い日に仕入れた仕入単価で計算する方法です。先入先出法の簡便法ですので、先入先出法と同じデメリット(物価上昇時に多くの棚卸資産を計上する)があります

・売価還元法
原価率を見積もって、年末にある棚卸資産の売価から原価を推定して計算する方法です。小売業などの取扱商品が多い事業で使用されます。通常の事業では使いません。

このように確定申告では棚卸資産の計算方法に選択肢が与えられてるんですね。

毎年の確定申告で棚卸資産の計算方法を都合よく変更するというのは×

なぜ、確定申告では棚卸資産の計算方法がいろいろあるのでしょうか。それは税法の根幹である課税の公平を損なわない程度で、個人事業主の事務的手間を配慮しているためです。なので、ある程度の自由が与えられているんですね。

ただし、一度計算方法を選択したら原則として3年間は変更できません。毎年毎年都合よく変えるというのはダメなんですね。ちなみに、何も手続きしない場合は自動的に最終仕入原価法で計算することになります。この方法が確定申告での棚卸資産の計算が最も簡単だと政策立案者は判断したのでしょうね。

実情に合う棚卸資産の計算方法を吟味してみては?

最も簡単な計算方法として、政策立案者は最終仕入原価法と判断しましたが、現実はケースバイケースです。スーパーのように品数が多ければ売価還元法で原価率を推定する方法が実情に合っています。また、棚卸資産の数量が少なければ、個別法により厳密に計算しても事業に支障をきたすことはないでしょう。

自社の棚卸資産はどう評価するのが良いか、一度考えてみた方が良いかも知れませんね。

参考)
確定申告で棚卸資産の附随費用は必要経費になるか?

棚卸資産はいつの確定申告で必要経費にできるのか

確定申告で自家消費はどのように計上すれば良いか

 

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