今年の業績UPをすると確定申告で納める所得税の金額は膨れ上がりますね。去年の業績をベースにした予定納税額を差し引いても、やはり所得税を納めるのに頭を悩ませるのではないでしょうか。

実はそんな個人事業主を救済する制度があります。それが「延納」です。延納は、確定申告をするときに選択できる制度で、読んで字のごとく、「納税を延期する」ものになります。今回は、そんな延納制度について確認していきましょう。

1.延納を受けるための最低条件とは

延納は、ただ「受けます!」と言っても受けられません。延納できる金額は、確定申告で納付する所得税の1/2以上を納めた残額とされており、1/2以上を納められない場合は延納を受けることができません。

そして、無事に1/2を納めた場合、以下のスケジュールで延納することが認められます。

・確定申告をした時点での納付期限は3月15日(振替納税の場合は4月下旬)
・延長分の納付期限は5月31日

ただし、注意点があります。延納をした場合、延納分については利子税(利息のようなもの)が課されます。平成29年の税率は所得税×年1.7%(日割計算)になります。

納税が延期された分は借入をしたイメージですね。したがって、延納分について利息が取られることになります。延納は納期を延長できるというメリットがある一方で、利子税が発生するというデメリットがあるんですね。

個人的には、利子税が全くかからずに4月下旬まで納税を延長できる振替納税を使った方が良いかと思いますが。。。

2.利子税がかからない延納額がある?

延納のデメリットは利子税がかかることですが、この利子税の計算方法を応用することで、課税されない方法があります。そのためには、確定申告で延納する所得税の金額に注意を払う必要があります。

なぜかと言いますと、利子税が1,000円未満の場合は切り捨てられるからです。そうすると、簡単な算式で利子税がかからない延納額を算出することができます。

①利子税の算式

所得税(千円未満切捨て)×1.7%=利子税(百円未満切捨て)

②利子税が1,000円未満になる金額を出すには

延納額×1.7%×77/365(※)>1,000
延納額=1,000÷1.7%÷77/365=278,838 ⇒ 278,800円

※77日とは延納期間である3月16日から5月31までの期間です。

ということで、延納額が278,800円まででしたら利子税はナシということになります。知っておいても良さそうですね。

3.延納の手続きをしないと利子税ではなく延滞税が

延納を受けようとする場合、絶対に忘れてはいけないのが延納の手続きです。延納は、確定申告をするときに手続きしなければなりません

手続きをしていないにもかかわらず所得税を期限までに納めないと、利子税ではなく延滞税が課されることになります。平成29年の場合、延滞税の税率は納付期限から2か月までは2.7%、2か月過ぎると9.0%です。利子税よりずっと高率ですので、注意して下さい。

なお、事業を継続している場合は利子税を必要経費に計上することができます。一方、延滞税は必要経費にはなりません。これも大きな違いですよね。

税率が高く、かつ、必要経費にも算入できない延滞税を支払うことがないよう、延納の手続きを受けようとする場合は、注意して下さいね。

(出所:国税庁HP

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