僕はネットビジネスをしていたこともあって、アフィリエイターのお客様が結構多いです。
アフィリエイターの方が口を揃えて言うのが、

「アフィリエイトに強い税理士がいない!」

とのこと。

たしかに、アフィリエイトは比較的新しいビジネスモデルですので、年配の先生ですとご存じない方が多いかもですね。A8とか言われても「えーはち?」みたいな状況になってしまうかも知れません。

そこで、自称アフィリエイトに強い税理士である僕が、アフィリエイターならではの必要経費についてご紹介していきます。

1.サイトアフィリ、PPCアフィリの必要経費

アフィリエイトは普通の事業と特になんら変わりありません。インターネット上の広告代理店みたいなものですよね。したがって、アフィリエイターだから必要経費にできないというものはありません。逆に、アフィリエイターならではの必要経費というのは少なからずあります

まず最初に、サイトアフィリ・PPCアフィリの必要経費について確認していきましょう。

(1)サイトアフィリに必要な経費

・サーバー代
・ドメイン代
・ワードプレス等のテンプレ代
・記事の外注費

サイトアフィリエイトの場合、上記の費用は売上を発生させるために「直接」必要な経費と言えます。したがって、これらの費用は全て「仕入」として必要経費にするのが良いでしょう。アフィリエイター以外ですと、サーバー代などは通信費になりますが、アフィリエイターの場合は「仕入」になります。

(2)PPCアフィリに必要な経費

PPCアフィリをする場合、アドワーズ等に広告を打ちますね。この場合の広告費は、「広告費」という勘定科目で処理をします。考えようによっては「仕入」とも言えますので、他の広告費と区分するために敢えて「仕入」としても問題ありません

なお、アドワーズは消費税の不課税取引となりますので、課税事業者の方はご注意下さい。
(一定の要件を満たすと、リバースチャージ方式が適用されます)

2.サンプル代は必要経費になるか

サプリメント等のサンプルを購入して記事を書いた場合、そのサンプル代は必要経費になります。実物がないと記事に信頼性が出ませんので、当然ですよね。この場合の勘定科目は、「仕入」になります。

(1)定期購入している場合の注意点

サンプル代とは言え、サプリ等を定期購入している場合、初回購入時以外の定期購入分は必要経費にするのは難しいです。それは「個人的に」購入しているんですよねという取り扱いを受けます。(初回分は「サンプル代」ですので、必要経費になります)

もちろん、定期購入するとこんな感じですよという紹介記事を書くことはできますが、正直、そこまで必要な情報なのかは疑義が残ります。

定期購入を必要経費にする場合は、

 

「定期購入した結果、こんな変化が出てきました」

 

のような記事を定期的に書いておくべきです。これは、定期購入をしていないと書けないコンテンツですよね。であれば、経費性は高いと言えます。

(2)消え物の場合の注意点

例えば、お肉のような「消え物」のアフィリしていたとしますと、そのお肉の購入代金全額を必要経費にできるかどうかは難しいところがあると思います。なぜなら、お肉を「食べる」のは個人の行為だからです。そこに経費性が認められるのかという論点が生じます。

・お肉を購入
・届いた写真をアップ
・調理した写真をアップ
・食べた感想をアップ

といった記事を書いていたとしますと、これは経費性があると言えるでしょう。

「食べる」という個人の行為の後にある「感想」を記事に入れることで、経費性は高くなります。消え物を扱う場合は、こういった点に注意しましょう。

3.飲食店等のレビューを記事に書いた場合の飲食代は?

飲食店等のレビュー記事を書く場合、その飲食代は当然に必要経費となるとお考えかも知れません。しかし、飲食は個人の行為でもありますので、記事を書けば飲食代は全て経費でしょというのはちょっと虫が良い話ですよね。

レビューを生業としているのであれば、それは「取材費」ですが、そうでなければ「個人の消費」となり必要経費になりません。ポイントは「取材になるか否か」ですね。

例えば、

・1日5杯ラーメンを食べて記事にする

5-3=2杯分は取材と言っても何ら問題は無いです。しかし、3杯分は個人の消費と捉えられる可能性があります。まぁ、3食全部ラーメンを食べる人はいないでしょうが・・・。

・流行りの店を紹介するようなサイトを運営している

行列ができるお店を紹介するようなサイトを運営していて、実際にそういった店舗に行き取材した記事をアップするのであれば問題ないでしょう。全然関係ないサイトを運営していて、ただ「〇〇へ行ってきました」という記事を書いても、それは「個人の消費」と考えられますよね。

といったように、運営しているサイトによっても経費性が変わってきます。サイトと直接関係あれば「取材費」なければ「個人の消費」と考えると良いでしょう。

4.情報商材も必要経費?

アフィリエイターがアフィリエイトの情報商材を購入したら、それは「図書費」として必要経費になります。僕が税金の書籍を購入するのと何ら変わらないですよね。

ただ、こちらも運営しているサイトによって、必要経費とできないものも出てきます。例えば、ダイエットのアフィリサイトを運営していて、子供の偏差値を20アップする!のような情報商材を購入したとしても事業関連性はないですよね。僕が将棋の本を買って必要経費にするようなものです。

もちろん、

将来的にこういったサイトを作ろうと思っている!

というのであれば、経費性は出てきますね。今やっているサイトと全然内容が違う情報商材を購入したのは、次のサイト作成のための資料収集です!と言うのであれば、それは普通に必要経費です。

5.高額な塾やセミナー代はいつ必要経費にできるか

塾やセミナーなどは必要経費になります。この場合の勘定科目は「研修費」とするのが一般的です。必要経費にするのは何の問題もないのですが、「期間」の問題があります。

(1)サポート等の期間で費用を按分?

塾やセミナーでは「1年間サポート付」とか「毎月コンテンツ配布」ということを謳っているケースが多々あります。そうすると、塾やセミナーの代金をこの期間で按分しないといけないのか?という問題が生じます。

結論から言いますと、払った時点で費用計上OKになります。サポート期間がどれだけあろうと債務自体は支払時に確定しますので、支払時の必要経費となります。
(逆に言いますと、塾をしている側はもらった時点で収益計上となります)

ただし、返金保証がある場合は債務が確定しませんので、サポート期間等で按分して必要経費にしておくのが無難でしょう。

(2)まだ塾が始まっていないけど先にお金を支払った場合

例えば塾の期間が1月~6月だったとして、それを前年12月に支払ったとしましょう。この場合、必要経費にできるのは1月以降ですので、支払った月の属する年度の確定申告では必要経費にできません。前払費用として取り扱うことになります。

法人の場合も同様で、決算年度の翌年度分の代金を決算年度に支払ったとしても損金にはなりませんので、ご注意下さい。

6.家賃や駐車場はどれだけ必要経費になるか

これはアフィリエイターだけでなく個人事業者の永遠の課題と言っても過言ではないかも知れません。住まいや車などは、事業で使うこともあるでしょうが「個人で」使うことも当然にあるかと思います。

なので、家賃や駐車場代などは「家事按分」というものを行います
家事按分は、

かかった費用のうち何パーセントは個人的に使っているので必要経費にしませんよ

というものになります。

(1)家賃・駐車場の家事按分の割合

明確なルールがあるものではありませんが、例えば、3部屋あってそのうちの1部屋は仕事専用にしているような場合は、家賃の1/3を必要経費としても問題ないでしょう。

車については運送業でもしていない限り、私的に使うことも結構あると思います。なので、一般的には30%程度を必要経費(70%を家事按分)とする感じですかね。

もちろん、取材で車を使うことが多く私的にはほぼ使わない!というのであれば70%とか80%を必要経費にしても問題ないでしょう。また、車が2台あって1台は事業専用で使っているような場合は、1台分は全額必要経費にするというのもアリです。

実態に応じて按分割合を決定しましょう。

(2)家や車に付随する費用の按分割合

家の場合は光熱費、車の場合は減価償却費やガソリン代などの費用が発生します。これらの按分割合はどうすれば良いでしょうか。

例えば、光熱費のうち電気代については家賃と同じ割合でも問題ありませんが、ガス代・水道代についてはあまり事業では使わないものになりますので、少し按分割合を下げた方が無難です。ただし、ガス代・水道代を家賃と同じ割合にするのに合理的な理由がある場合は同じ割合でも問題ありません。

また、車については、例えば取材で遠方まで車で行った場合のガソリン代・高速代・駐車場代などは全額必要経費で問題ありません。
それ以外の場合は駐車場代と同じ割合にしておくのが無難でしょう。

7.副業アフィリエイターが注意しなければならないこと

アフィリエイターは副業が多いのも特徴ですよね。
これを読んでいる方は「確定申告しなくてもバレない!」などというお考えではないと思いますが、副業アフィリエイターがどの位稼ぐと確定申告しなければならないのでしょうか。
答えは、

利益ベースで20万円以上

のケースです。
ベースは利益ですので、収益から費用を差し引いた金額になります。

サラリーマンでアフィリエイトの利益が20万円以上になったら確定申告が必要なんだなと覚えておきましょう。

ちなみに、確定申告をする必要があるのにしなかった場合は「脱税」になります。
脱税は懲役刑もある非常に重い罪ですので、やらないで下さいね!

8.まとめ

ということで、アフィリエイター特有の必要経費について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ポイントは、

事業と関係があるのか

これに尽きます。事業に関係がある費用でしたら必要経費になりますし、関係がなければ必要経費にできません

ただ、アフィリエイターの場合は事業に関係がある費用の範囲が非常に広いと思います。基本的には、「記事にアップする⇒売上が上がる」ですので、それに掛かった費用は必要経費にできるんですね。

経費にしたけりゃ記事を書け!

というのが僕からの最後のアドバイスとなります。もちろん、運営しているサイトと全く関係ない記事の場合は経費性は薄いですが・・・
変に都合良く解釈されないようご注意下さい。

なお、

・もっと細かい事例を聞きたい!
・法人化も検討している!
・アフィリエイトに強い税理士を探している!

という方は、こちらよりご連絡頂くかお電話頂ければと思います。

おまけ.ASPの売上計上

アフィリエイターと言えばASPからの売上が多いかと思います。この売上の計上時期について勘違いされている方が多いので、こちらで解説しておきます。

(1)ASPの売上計上時期

ASPに限らず、基本的に売上は「実現主義」というものが採用されます。「実現」を簡単に言うと「売上が確定した状態」です。すなわち、キャッシュが入ってくるかどうかは関係ありません。

報酬管理画面を開いて、〇月分というところをクリックして出てきた金額がその月の売上になります。ちなみに、この場合の売上はアフィリ報酬そのものになります。

例)
売上:100万円
アフィリ報酬:10万円

⇒10万円が売上!

(2)「破棄」された場合の取扱い

高額のアフィリ案件が破棄された・・・というのはよくある話ですよね。ただ、入金されるまで「破棄」が確認できないケースも多々あるかと思います。

例えば12月の報酬が100万円だったとして、それを売上に計上したはいいけど実際の入金は95万円だったということもあるでしょう。その場合、12月の売上は100万円でなく「95万円」になります。破棄分は売上に計上する必要はありません

確定申告時期や決算期末は注意しましょう。

(3)振込手数料の処理方法

一部ASPでは振込手数料を控除した金額を振り込んできます。
その場合は、以下のように取り扱います。

例)
報酬:10万円
振込手数料:864円

・売上計上時

(売掛金)100,000  (売上)100,000

・入金時

(預 金)99,136  (売掛金)100,000
(支払手数料)864

売上や売掛金から手数料分を直接控除するのではなく、まず総額で売上と売掛金を計上して入金時に振込手数料を認識しましょう。

(4)現金以外で報酬を受けた場合

楽天アフィリなど、アフィリ報酬をお金ではなくポイントで支払うASPがあります。

「ポイントだから売上にしないでいい!」

という方がいらっしゃるのですが、そんな筈はありません(笑)
ポイントだろうと何だろうと、売上に計上する必要があります。

お金以外なら売上にしなくていいなら、商品券とかで支払ってもらえばいい!ってなりますよね。ということで、ご注意下さい。

ちなみに、ポイントで消耗品等を購入した場合であっても、そのポイント支払分は必要経費になります。もらう分だけ課税されるのではなく、払いについてもしっかり必要経費にできますので、ご安心下さい。

 

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