毎月の家賃を支払ったときにどんな会計処理をしていますか。おそらく支払った時に、必要経費に落としているのではないでしょうか。
ですが、正確にはそれは間違った会計処理です。普通は翌月分の家賃を先に支払うかと思います。12月の支払い分は翌年の1月分ということですね。ということは、理論上は、1月分の家賃は来年の確定申告で必要経費に落ちるものになります。今年の売上に貢献していませんからね。
しかし、現実に税務署は間違いを指摘しません。それは短期前払費用という特例によって、確定申告で必要経費に落とすことが認められているからなのです。
短期前払費用の内容とは
いったい確定申告するときの短期前払費用とはどのようなものでしょうか。短期前払費用について記載してある、所得税基本通達37-30の2を要約すると次のとおりです。
・サービスを受けていない費用のうち、一年以内の分なら必要経費に落とせます
・短期前払費用として、毎年同じ会計処理を継続しているのが条件です。
このように一見すると確定申告での優遇税制に見えます。
短期前払費用のルールは確定申告が面倒だから設けられた?
結論からいいます。短期前払費用は確定申告で優遇するために設けられたものではありません。あくまでも簡便性です。
・必要経費に落とせる条件が、サービス期間が1年以内であること、毎年同じ会計処理の継続が求められていること、など税金を都合よく減らせないような内容になっています。
・そもそも、確定申告で短期前払費用を厳密に資産計上していたら、事務処理が面倒なのではないでしょうか。
ですから、短期前払費用は確定申告で特別に必要経費とすることができるんですね。
必要経費か資産計上かは最初の年で選択しなければならない
家賃の支払いなどの短期前払費用になり得るものは、最初の会計処理が肝心です。選択する基準は次のとおり。
・確定申告で節税をしたい場合は必要経費に落とすことがオススメ
・厳密に採算の計算をしたい場合は資産計上がオススメ
確定申告の実務では短期前払費用をどう会計処理すればよいのかはケースバイケースです。
ちなみに、短期前払費用は「定質定量」のものしか認められていません。毎回受ける役務が違うようなものですと短期前払費用に該当しませんのでご注意下さい。
参考)
短期前払費用になる・ならないものの違いを明らかにしましょう
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