確定申告で計算する年間所得税の金額は税金の負担する能力に応じるのが原則です。そのため、必要経費を計上する根拠にはお金の減少が大前提のはずです。それは当然。税金はお金で支払うためです。

ところが、確定申告をするときにお金を負担していないのに必要経費に落とせる項目があります。それが引当金です。

いったい引当金とは何でしょうか。なぜ、お金を負担していないのに必要経費に落とせるのでしょうか。確定申告における引当金を理解することで税法の仕組みがより一層わかることでしょう。

確定申告で必要経費とすることができる引当金

引当金とは将来に対する見積費用です。したがって、お金が減るかどうかは関係ありません。これは税法に会計学の考え方が入り込んでいるため。だから、税金を計算するときに負担能力の厳密さを多少犠牲にしてるんですね。それでは確定申告で必要経費に計上できる引当金を紹介しましょう。

所得税法
・第五十二条・・・貸倒引当金(債権の貸倒れに対する見積費用)
・第五十三条・・・返品調整引当金(商品の返品に対する見積費用)
・第五十四条・・・退職給与引当金(将来の退職金に対する見積費用)

上記の引当金は、個別評価貸金等(回収困難な債権)を除いて青色申告で確定申告をする個人事業主しか必要経費に計上できません。”

見積費用である引当金が必要経費にできるワケ

確定申告で年間所得税を計算するときに、税金の負担能力の厳密な測定を犠牲にする会計学の考え方とは何でしょうか。

一言で申し上げれば、売上高に対する利益を厳密に計算することなんですね。しかも、できるだけ辛口に計算することが奨励されているので、引当金のような見積費用を計上したい立場を採っているのが会計学です。これを企業会計原則では、保守主義の原則といいます。

もともと、確定申告の所得金額と会計学の利益の計算構造が近いため、税金の負担能力の厳密な測定を犠牲して引当金を必要経費に計上するのを認めたのでしょう。

所得税と会計の関係

結局、確定申告で計算する年間所得税は政策実現や簡便性のほかに、会計学の思惑まで入り込んでいます。いろいろな要素が複雑に絡み合って税金の計算をするのが現在の所得税(法人税)の特徴なのです。

参考)
貸倒損失を確定申告で必要経費にする要件とは
貸倒引当金は金銭負担なしで確定申告上必要経費になる便利な項目

 

【完全無料】今なら税理士に無料相談できます!