土地付建物を譲渡した場合、確定申告で譲渡所得はどのように計算するのでしょうか。譲渡所得の基本的な計算式は次の通りです。

譲渡所得=収入金額-取得費・譲渡経費-特別控除額

確定申告において、総合課税でも分離課税でも考え方は同じです。譲渡所得の実務で収入金額(=時価)の算定の次に難しいのが、取得費の計算です。特に土地付建物の取得費については計算が複雑になります。

譲渡収入から控除する取得費の計算方法

確定申告で計算する取得費とは次のようになります。

取得費=土地付建物を購入するために支出した費用-建物部分の償却費相当額

まず、購入するために支出した費用を算定する必要があります。購入するために支出した費用は、次の①~③までの合計金額になります。

①土地付建物の購入代金・購入手数料・使用するまでの借入金利子など
②改良費
③購入後に取り付けたバリアフリーなどの設備費

これらの金額の合計額が、譲渡所得の確定申告をする際のスタートラインになります。

取得費から控除される償却費相当額の計算方法

ここからが確定申告での取得費を計算する面倒な部分です。土地以外の資産は使用期間に比例して価値が落ちるために、減価償却費相当額を計上しなければなりません。減価償却費相当額は、土地付建物の使用開始日から譲渡した日の期間に応じて、計算をします。

具体的な計算方法は、事業所得と同じように定額法で計算した減価償却費を償却費相当額とします。注意点は同じ建物でも事業用とプライベート用では計算方法が違うという点ですね。

①事業用の建物・・・税法上の耐用年数
②プライベート用の建物・・・税法上の耐用年数×1.5倍

プライベート用の方が、耐用年数が1.5倍となりますので、減価償却費が少なくなります。例えば、1,500万円の建物で耐用年数が10年だった場合、事業用では年間150万円の減価償却費を計上しますが、プライベート用では、1,500万円÷(10×1.5)=100万円の減価償却費になります。減価償却費が少なければ少ないほど取得費が増えることになりますので、プライベート用の方が有利であると言えますね。

わからなかったら迷わず専門家へ!

以上、土地付建物の取得費の計算方法を紹介しました。実際に確定申告をするときは、取得した日と譲渡した日の分かる契約書などの書類を持参して、税務署のタックスアンサーか税理士に聞くことをオススメします。所有期間が把握できれば、確定申告に必要な取得費の計算を代行してくれます。

譲渡所得は、金額が多額になりますので、間違ってしまうと物凄い金額の税金を納めることになりかねません。慎重に取り扱いたいですね。

また、計算するのが面倒なら概算で計算する方法があります。

取得費=収入金額×5%

これは、譲渡所得の確定申告をするときの特例として認められている制度です。たったの5%しか収入金額から控除できませんが、特別控除がありますので、これでも税金が出ないケースは多々あります。検討しても良いかも知れませんね。”

参考)
譲渡所得は総合・分離、長期・短期に注意
土地・建物を譲渡する場合には保有期間に注意しないと痛い目に
確定申告で譲渡所得の収入金額を算定する「時価」の概念とは

 

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