確定申告で計算する所得税は、所得金額に比例して税率も高くなる累進課税制度が基本です。そして、所得税では累進課税制度が適用される課税方式を総合課税といいます。総合課税は、色々な所得を合算して計算するのが特徴です。

ところが、世の中には例外があります。確定申告をするときに他の所得と合算しない所得があります。この課税方式を分離課税といます。分離課税方式は、色々な所得の種類別で所得税を計算するのが特徴です。

今回は分離課税による確定申告をテーマにします。

分離課税の対象となる所得

確定申告で分離課税で計算する所得は主に次のとおりです。

①退職所得(基本的に会社で源泉徴収するために確定申告は不要)
②土地建物の譲渡所得
③株式等の譲渡所得
④譲渡所得
(参考:土地・建物を譲渡する場合には保有期間に注意しないと痛い目に

分離課税は、所得金額が大きくなっても累進課税により税率が高くなることがないので、所得税を抑えることができるというメリットがあります。

一方、デメリットは確定申告での計算が面倒であることと、損失が出た場合でも他の所得を通算することができないという点です。例えば、同じ譲渡所得でも株式の譲渡損(売却損など)と土地建物の譲渡所得を相殺することはできません。

確定申告で分離課税を採用するワケとは

そもそも、所得税の確定申告は累進課税制度が原則なのに、分離課税制度があるんでしょうか。理由は主に2つあると考えます。

①税金の負担能力を配慮
退職所得が典型でしょう。退職すれば、会社から収入がなくなります。年金収入では、勤めていたころよりも収入ダウンになります。ですから、税金の負担能力が減少します。また、何年も勤務してもらった退職金と毎年の所得とを合算するのは問題がありますので、そういった意味でも分離課税にしたと考えられますね。

②政策実現
たとえば、確定申告で株式等を分離課税にしているのは、株取引を活発にさせるためだと考えられます。所得が多い方になればなるほど株式の売却益課税も増えてしまうというのは問題ですしね。投資を促進する意味でも、分離課税にしているのでしょう。

分離課税は確定申告の所得税を抑えている

このように確定申告で分離課税制度という特例を採用するのには、政策立案者のいろいろな思惑があります。現在は、分離課税によって納税者有利に働いているように思いますね。株式の譲渡損が出た場合は分離じゃない方がいいですが・・・

参考)
累進課税制度を理解して所得税の節税を検討しましょう
確定申告で所得金額を10種類に分類する理由とは?

 

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