古くなったマイホームを売却して、新しいマンションを買い換えるようなケースはたくさんありますよね。その場合の確定申告は、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除を適用するケースが多いです。例えば、4,000万円の売却益が出ても、特別控除を差し引いた1,000万円に対してしか課税されません。

ところが、3,000万円特別控除よりもっと課税されない、居住用財産の買換えの特例という規定があります。居住用財産の買換えの特例制度を適用すれば、確定申告で1円も課税されません

居住用財産を売却したときは、確定申告で特別控除と買換えの特例のいずれかを選択することができます。ただし、両方は適用できませんので、注意しましょう。

買換え特例は課税を「繰り延べる」制度

最初に行っておきますと、居住用財産を買い換えた場合の特例は、課税が無くなるという制度ではありません。居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除については、3,000万円以下の利益でしたら、その利益に対して課税が無くなります

しかし、買換えの特例については、課税自体はなくなりません。どうなるかと言いますと、利益に対する課税が将来に繰り延べられることになります。

つまり、課税を繰り延べるだけの制度ですので、根本的な解決にはなっていませんが、買換え時にはお金がかかるのに、そこで納税をしていたらマイホームの購入資金がなくなってしまうではないか!という意見に対応して、課税の繰延措置がとられています。

繰り延べられた税金は、次に購入したマイホームの売却時などに合わせて行われることになりますが、その時にまた買換えをしていれば、また課税されずに・・・となる可能性もあります。

とりあえず、目先の課税を避けることができるという意味では、意味のある規定だと思いますね。

ということで、売却益が3,000万円以下であれば、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除を利用した方が得です。そこで課税関係が終わりますからね。

これを踏まえて、以下の本文をお読み下さい。

こんなに細かい!居住用資産の買換えの特例

それでは、居住用財産について確定申告で買換えの特例を受けるための条件を確認していきましょう。なお、本格的に検討するときは自己判断ではなく、税務署のタックスアンサーか税理士に相談して下さいね。

買換えの特例を受ける主な条件は以下の通りです。

もともと住んでいる居住用財産を売ること(住んでいないときは住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること)
※家屋を取り壊して売却するときは、以下のように条件が細かくなります。
・家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において敷地の所有期間が10年超
・敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内にされ、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却
・家屋を取り壊した日から譲渡契約を締結した日まで、敷地を貸駐車場その他の用に供していない

②居住用財産の所在地(売り・買いとも)が日本国内にあるもの
売却代金が1億円以下であること
④売る人の居住期間が10年以上であること
⑤居住用資産を譲渡した年の1月1日時点で家屋・土地の所有期間がともに10年以上であること
⑥買い換える建物が50㎡以上敷地が500平米以下であること
⑦譲渡した年の前年から翌年までの3年間の間にマイホームを買い換えること
⑧中古資産に買い換えた場合は、築25年以内であること
⑨親子や配偶者などの特別な関係がある人以外に譲渡していること

※読み易いように一部省略して記載している箇所があります

また、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除、マイホームを譲渡した場合の軽減税率の特例(措法31③)と合わせて適用することはできません。いずれか1つだけということになります。

買換えの適用を受けるために準備する書類

確定申告で居住用財産の買換えの特例を適用するために添付する書類の要点は次の通りになります。

①譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
②売却する居住用財産の所有期間が10年以上であることを証明する書類
③購入した居住用財産の面積を証明する書類
④売却代金が1億円以下であることを証明する書類

他にも確定申告書に添付する書類がある可能性があります。この記事はあくまで参考程度として頂き、実際の確定申告では必ず税務署か税理士に問い合わせるようにして下さいね。

参考)
確定申告で譲渡所得の収入金額を算定する「時価」の概念とは
確定申告の譲渡所得で特別控除される項目ってどんなもの?
マイホームを譲渡した場合の確定申告はどうするの?税金かかる?

 

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