確定申告で固定資産の減価償却方法が複数あるのは知っていますか。その中でも代表的なものが2つあります。

・定額法
・定率法

同じ固定資産でも、確定申告で計算する減価償却費の金額がまったく違います。今回はその違いを実感してもらいましょう。

定額法と定率法で、どのくらい減価償却費の金額は違うのか

それでは、定額法と定率法では確定申告で計上する減価償却費にどの位の違いがでるかを、次のケースで確認しましょう。

例)車両100万円、法定耐用年数5年

①定額法
100万円×0.200(償却率)=20万円
購入金額に償却率をかけるので、毎年の減価償却費が同額なのが特徴です。

②定率法
・1年目 100万円×0.400(償却率)=40万円(帳簿価額60万円)
・2年目 60万円×0.400=24万円(帳簿価額36万円)
・3年目 36万円×0.400=14.4万円(帳簿価額21.6万円)
・4年目 14.4万円×0.400=57,600<72,000 ∴7.2万円(※)
・5年目 7.2万円

※定率法には償却保証額があり、計算した減価償却費が保証額を下回る場合は、償却率(改定償却率と言います)が変更になり、かつ、定額法になります。耐用年数5年の場合、改定償却率は0.500となり、帳簿価額14.4万円×0.500=7.2万円が減価償却費となり、翌年も7.2万円が減価償却費となります。

最初の2年は定額法より確定申告で計上できる減価償却費は大きかったのですが、3年目以降は下回ることになります。定率法は、帳簿価額に償却率を乗じることから、前倒しで必要経費に落とせるのが特徴になります。

確定申告で定率法を採用するためには

上記の例からすると、前倒しで減価償却費に計上できる定率法のほうが魅力的に思えませんか。確定申告で必要経費に落とせる金額が購入1年目で定額法は20万に対して、定率法は40万円です。20万円多く減価償却費に計上できます。

ところが、定率法を採用するためには手続きが必要になります。黙っていると確定申告では強制的に定額法で減価償却費を計算しなければなりません。具体的には届出書に機械、器具備品、車両などの種類別に定額法か定率法を選択します。

定率法を選択する場合は、こちらの届出を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

定率法を選択したら気軽に定額法には変えられない

確定申告で減価償却方法を選択するときの注意点は3つあります。

①提出期限
・開業した年は確定申告の提出期限である翌年の3月15日
・通常は変更しようとする年の3月15日
②一度選択したら原則3年間は変更できません。
③減価償却は強制です。融資を受けたいためにその年だけ計上しないで所得金額を多めに調整することはできません。

 

参考
確定申告を悩ませる減価償却という制度について
減価償却とは何かをできるだけ簡単に説明してみます(前編)
減価償却とは何かをできるだけ簡単に説明してみます(後編)

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