短期前払費用が必要経費に落とせるのは確定申告の優遇税制ではありませんが、年間の家賃を一括で支払った場合には節税効果は大きいですね。そのルールに則って、税理士報酬を一年分すべて必要経費に落とせるという発想をする人が少なからずいるのではないでしょうか。
答えはNOです。税理士報酬は税法でいう短期前払費用になりません。確定申告をするときには十分に注意して下さい。
短期前払費用の性格とは何か
家賃は短期前払費用として確定申告で必要経費に落とせるのに、税理士報酬は認められません。その基準はいったい何でしょうか。平成16年3月24日国税不服審判所の裁決と平成19年6月29日東京地裁の判決が具体的に示しています。
・定質定量のサービスかどうか
確定申告で短期前払費用として必要経費に落とすための条件として、ぜひ頭に入れておきましょう。
確定申告で必要経費に落とすのに必要な知識
それでは、短期前払費用として確定申告で必要経費に落とすための、定質定量のサービスとはどんなものでしょうか。家賃と税理士報酬を例にしましょう。
・家賃は毎月のサービスの質は変わりませんね。同じ空間である以上は事業活動に変化をもたらしません。また、1日24時間を増やすことも減らすこともできないので、量も同じです。したがって、定質定量のサービスに当てはまります。
・税理士報酬はサービスの質が一定ではありませんね。状況によって、受けるアドバイスが変わります。ですから、確定申告では短期前払費用に当てはまりません。
短期前払費用の拡大解釈はできない
短期前払費用の性質である定質定量のサービスは所得税基本通達7-30の2には書いていません。しかし、国税不服審判所の裁決と東京地裁の判決で判断された以上は、確定申告をするときの方向性はハッキリ示されています。
「書いていないから知りませんでした」では通用しないのが税法の世界。短期前払費用を確定申告で必要経費に落とすときは注意しましょうね。
参考)
来年分の家賃を支払ったら今年の必要経費?短期前払費用とは
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