開業したばかりの個人事業主にとって、確定申告で疑問に感じることのひとつに、支払った金額のうち、全部ではなく一部しか必要経費に落とせない項目があるという点が挙げられます。

これは主に30万円以上のソフトウェアや営業用のマイカー代などの固定資産を指すことになります。固定資産は、基本的に長期間にわたって使用されるため、取得時に全額必要経費にするのではなく、税法で定められた法定耐用年数(要するに使用する年数)であん分するのがルールとなっています。

この手続きを減価償却といいます。確定申告で固定資産を全額必要経費としてしまうことがないよう、減価償却のアウトラインを紹介しましょう。

必要経費をあん分する減価償却という手続きとは

確定申告で行う減価償却の手続きについて、次のケースを例に考えていきましょう。

例)法定耐用年数5年のマイカーを100万円で購入した場合
減価償却費は次のとおりになります。便宜上、定額法(取得価額÷法定耐用年数を1年間の減価償却費とする方法)で計算します。

・100万円×0.2(償却率)=20万円

この金額が5年間にわたって、確定申告で必要経費に落とせることになります。なお、初年度に限り、月割であん分をします。

例:5月7日取得

5月7日~12月31日⇒7カ月と24日⇒8カ月(1ヵ月未満の端数は1ヵ月とします))

年間の減価償却費×8/12。

なお、償却率とは法定耐用年数に応じて、国が定めた率であり、基本的には「1÷法定耐用年数(小数点3位未満は切上⇒例:1÷3=0.3333・・・・∴0.334)で算出します。

法定耐用年数の基準

それでは確定申告で用いる減価償却に必要な法定耐用年数はどんな基準で定められているのでしょうか。

それは全国にある固定資産の平均使用可能期間です。たとえば、同じマイカーでも都会と海辺では違いますね。どうしても、海辺のほうが潮風に当たって、早く消耗します。ですから、全国の平均値が必要なんです。

確定申告での減価償却の実務では、いかに法定耐用年数を把握するのかがポイントになります。

確定申告の実務で法定耐用年数を見つける方法

減価償却の手続きをするための法定耐用年数は、固定資産の種類別の耐用年数表から、当てはまるものを見つけることになります。それで確定申告での減価償却費の計算でスムーズできるのです。具体的な耐用年数については、こちらをご参照下さい(国税庁HP)。

同じマイカーでも運送用なら4年でも、営業用なら6年といったように使用目的などによって細かく分類されています。
ですから、いかに耐用年数表を読みこなせるかが大切なんですね。

なお、耐用年数表を見てもわからない場合は、税理士か税務署に相談するようにして下さい。

参考)
減価償却とは何かをできるだけ簡単に説明してみます(前編)
減価償却とは何かをできるだけ簡単に説明してみます(後編)

 

【完全無料】今なら税理士に無料相談できます!