個人事業者の方は、固定資産をリースで取得しているケースが多いのではないでしょうか。リースですと分割で支払うことができますので、資金繰りに役立ちますよね。ただ、リース形態によって、確定申告で必要経費を計算する方法が違うというのはご存知でしょうか。リース取引は、一般的に次の2つに分類されます。
・ファイナンスリース
・オペレーティングリース
オペレーティングリースとは、ファイナンスリース以外のリース取引になります。オペレーティングリースは通常の賃借取引になりますので、支払った分を確定申告で必要経費にすることができます。ちなみに、勘定科目は「支払リース料」でOKです。
ただ、オペレーティングリースの処理は簡単で良いのですが、ファイナンスリースは一筋縄ではいきません。
ファイナンスリース取引に該当するリースとは
ファイナンスリースの特徴は、
・解約できない(ノンキャンセラブル)
・固定資産のメンテナンス代を負担する(フルペイアウト)
の2点になります。これらを満たすと基本的にはファイナンスリースになるんだなと考えて頂ければOKです。オペレーティングリースの場合は、基本的に解約はいつでもできますよね。
ファイナンスリースは、実感として、固定資産の購入代金を月賦で支払っているのと同じです。固定資産の購入代金を借入れているイメージですので、確定申告では通常の固定資産の取得と同じ取り扱いになります。
したがって、購入した場合と同じように減価償却費を計算することになります。ファイナンスリースでは、支払ったリース料ではなく減価償却費が必要経費になるんですね。
なお、リース料総額には利息相当額が含まれています。利息部分につきましては支払利息として必要経費にしますので、返済予定表を見て、支払利息部分を確認するようにして下さいね。
所有権の有無で処理が異なります
さて、ファイナンスリースをした場合の減価償却費の計算ですが、原則として、その他の固定資産と同じ基準で減価償却をします。
ただ、リース期間経過後に所有権が移転しないもの(リース会社のもののままということです)については、所有権移転外リースとなり、リース期間で定額法により減価償却費を計算します。定率法が使えないんですね。
また、所有権移転外リースの場合は、例外的処理として賃貸借処理によることもできます。賃貸借処理の場合は、「支払リース料=必要経費」となりますので、計算が楽になりますね。
リースの会計処理はどうするのが良いか
最後にリースの会計処理をまとめましょう。
■オペレーティングリース
支払リース料=必要経費
■ファイナンスリース
・所有権移転リース
通常の売買処理と同じ処理(利息分は支払利息)
・所有権移転外リース
リース期間定額法or賃貸借処理(いずれも利息分は支払利息)
どの取引に該当するかは契約によって異なりますので、まずはリース契約書をしっかりと確認してから会計処理をするようにして下さいね。
参考)
ファイナンスリースとオペレーティングリースの違い
所有権移転リースと所有権移転外リースの判定