個人事業主の場合、事業で使用しているマイカーや備品などを売却した際の利益は、確定申告で事業所得ではなく譲渡所得に該当することになります。事業で使用しているのに、事業所得でないというのは不思議な話ですね。

そして、わざわざ確定申告で譲渡所得と区別するのは面倒です。違和感を感じる個人事業主の方は多くいらっしゃるのかなと思います。それでは、なぜ確定申告の計算が面倒であるにもかかわらず事業所得と譲渡所得に分けるのでしょうか。

売却益が事業所得でなく譲渡所得になる制度的な理由

結論から申し上げます。同じ事業なのに確定申告で2種類の所得に分ける理由は、所得の性質が違うからです。

①事業所得・・・汗水たらしながら働いて稼いだお金(収得税)
②譲渡所得・・・財産を売却などして得た利益(財産税に近い存在)

確定申告で譲渡所得に分けないと、事業所得のように働いて稼いだお金と財産の売却損益が混じってしまい、問題となってしまいます。

譲渡所得の譲渡とは売却だけではない

さて、確定申告でいう譲渡所得とは何でしょうか。

①対象資産
土地・建物・マイカー・器具備品などの形のある固定資産はもちろん、株式や特許権などの無形財産まで幅広い資産が対象となります。
②譲渡とは何か
売却だけはなく、もっと幅広いです。現物出資や法人に対する贈与なども含まれてきます。何かを譲り渡した行為又はそれに類する行為は基本的に譲渡に該当します。

ですから、確定申告の中でも譲渡所得の計算は非常に複雑です。計算方法も事業所得とは違います。

譲渡所得の計算は複雑なため、確定申告は慎重に!

譲渡所得の計算をさらに確定申告で複雑にしている原因は、取り扱い金額が大きくなるためです。たとえば、土地を譲渡するときなど、かなり高額になりますよね。そのため、所得税法の原則通りに計算をすると、確定申告で譲渡所得に対する税額が膨れ上がることになりかねません。そこで、政策のために特例制度がたくさんあります。

そして、その特例制度を知らないと損するケースが多々あります。また、金額が高額であるということは、計算ミスをすると追徴課税が多額になることにもなりますので、譲渡所得の計算をする場合は税務署に確認を取るか税理士に相談されることをおススメします。

 

参考)
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除とは
譲渡所得は総合・分離、長期・短期に注意
譲渡所得は事業所得よりもお得!長期譲渡はもっとお得!

 

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